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   重度の偏愛主義です。何年経っても枢木スザク至上主義!
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 (現在お礼SS4種あります)

ずっと書き溜めていたギアス行政特区日本式典if(前編)。

一期22話で、日本人を殺せとギアスをかけられたユフィがブリタニア軍に虐殺を命じたあと、
ニードルガンで最前列のイレヴンを撃ちますよね。
もしもその時にゼロ=ルルーシュがユフィの前に立ちはだかり、撃たれてしまったらという捏造話です。
カップリングはありません。
ユフィは原作通り亡くなってしまう(T_T)上に、ルルーシュも還らぬ人となってしまうので、
死ネタが苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。
加えて少々スザクに厳しめかもしれませんので、そちらが苦手な方もお控え下さいませ。
しかし私はスザクが嫌いなわけではありません!むしろ枢木スザク至上主義なんです!(黙


そして、原作と違う設定もいくつかあるので、閲覧される方はご一読の上お進み下さいませ。

・原作とはセリフも場面背景もキャラ設定も異なります。ifというより、パラレルワールドのお話としてお読み頂いた方がいいかもしれません。
カレンはゼロ=ルルーシュだと知っています。
・ユフィはルルーシュには殺されず、黒の騎士団に殺されます。
・C.C.とルルーシュは合流しません。
・出番は一瞬ですがオリジナルキャラがでてきます。
・スザクがちょっとおばかな感じに見えてしまうかもしれませんが、そこはスザクということで許してあげてください(笑)
・ユフィの死亡時刻は捏造です。命日?は確かこの日だったような…程度なので、もしかしたら違うかもしれません…
・最初にも書きましたが、完全に捏造です。原作のイメージを壊されたくない方は閲覧をご遠慮下さい。

他にも色々オリジナル設定があるかもしれないので、
何か疑問点がございましたら質問していただければお答え致します。
お気軽に(^-^)/


と、ここまでなんかすごい作品を発表する感じで綴ってきましたが(笑)、
全くそんなことはなく、むしろ表現下手すぎて伝わらない予感です!(笑)


では、以上のことを了承頂けた方のみ追記からどうぞ!
※前後編です。今回は前編!








「日本人を名乗る皆さん!」
 慈愛の皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアが、行政特区日本の式典会場に集まったイレヴン――否、日本人に、高らかに呼びかける。彼女はゼロとどこに行き、何を話したのか。そのゼロはどうしたのか。そんな人々の疑問をよそに、ユーフェミアは一層朗々とした声で続けた。
「お願いがあります。死んでいただけないでしょうか?」
 刹那、人々が息を飲んだのと同時に、あれほど騒がしかった会場がとても気味の悪い静寂に包まれた。そして、そこにいる誰もが我が耳を疑った。本来ならば日本人にとって、いや、世界にとって記念すべき日になるはずであった今日という日に、まさかその平和を築こうとしていた副総督本人から死を願われようとは、世界中の誰一人として予想だにしなかったことであろうから。
「自殺してほしかったんですけど、だめですか?」
 発せられる残酷な言葉とは対極の、いつもの彼女らしい明るく快活な声音で、ユーフェミアは尚も続ける。異変にいち早く気が付いたダールトンでさえもが、驚愕と混乱により茫然自失といった様子でただただユーフェミアを見つめることしかできなかった。
 あの優美なる皇女が、イレヴンの死を願った? 自分たち日本人に、死を命令した? いや、この慈愛の二つ名を持つブリタニア第三皇女が、そのような馬鹿げたことを口にするはずがない。では、今の言葉はなぜ—―。
「じゃあ、兵士の方々、皆殺しにしてください!」
 虐殺です――!
 嬉々とした表情でブリタニア軍に命ずるユーフェミアは、表情だけ見ればまるで自身の夢を語る少女のように、きらきらと輝いていた。
『やめろユフィっ!』
 G1ベースから駆けて来たゼロ=ルルーシュは、戸惑いを隠せない人々のどよめきの何倍かの大声で、マイクに向かう異腹の妹に叫んだ。失われた“彼女”の耳に、心に届くように。なあ、頼む、頼むから。どうか、俺の声を聞いて。しかし、ルルーシュのそんな願いとは裏腹に、ユーフェミアが振り向く気配はなかった。やはり聞こえなかったのだろうか。それならばともう一度叫ぼうと口を開いたその時
「ゼロ、貴様っ! ユーフェミア様に何をしたっ!?」
「このっ、テロリストが……!」
 ルルーシュは武装したブリタニア兵に取り押さえられてしまう。さすが兵士と言うべきか、お世辞にも体育会系とは言い難い彼にはとても敵いそうもない強い力で、先へ進もうとする彼を妨害する。ルルーシュはギアスをかけるために、迷わず左目のシャッターを開けようとした。が、両腕を抑えられそれが叶わない。その間にもユーフェミアは先ほどルルーシュから奪っていったニードルガンを構え、混乱しているブリタニア軍に意気揚々と恐ろしい命令を下していた。
『くそっ、こんなときにっ!』
 右腕を抑えていた兵士の一瞬の隙を突き、ルルーシュは左目のシャッターを開け、自分の邪魔をしないようにギアスをかける。そしてそれを受けた兵士たちの力が弱まった瞬間に、彼はユーフェミアの元へと一目散に走り出した。しかし彼女は既にニードルガンを構え、今にも発砲してしまいそうで。
『ユフィィィィィ!!』
 ユーフェミアの細く美しい人差し指が、引き金にかかる。引き金を、引く――。
『っユフィィィィィィィィィッ!! やめろおおおおお――っ!!』
 ――乾いた一発の銃声が、会場に、大きく、大きく鳴り響いた。
 そして訪れる、静寂。すべての音が消え失せる。空を駆ける鳥の声さえも、まるで誰かが奪い去ってしまったかのように。
 時が、止まる。
「き……っきゃあああああああああ!!」
 最前列に座っていた一人の女性の絶叫が、静寂を鋭く裂いた。それが合図となり、瞬く間に会場内に悲鳴と絶叫と怒号と混乱の波紋が広がる。
 ステージの上には、場違いなほどに美しい笑みを浮かべるユーフェミアと、倒れる仮面の男。その周囲を取り囲むようにして紅い血が水溜りを形成し、それは徐々に広がっていた。
 ゼロが、ルルーシュが撃たれた。彼は、あろうことか、引き金を引いたユーフェミアの前に立ち塞がったのだ。まるで民衆を守るかのように、颯爽と。何の迷いもなく。
 身を挺して日本人を庇い、そして撃たれたゼロ。特区日本という卑劣な罠で誘い出した自分たちに死を命令し、メシアを撃ったユーフェミア。それは、何も知らない者にとっては、まさしく前者が正義、後者が悪のように見えた。しかしそれはあくまで“知らない者”の見解であり、“知っている者”にとっては――。
「――あら? ゼロ? どうしてあなたが……」
 ユーフェミアは倒れるルルーシュと自身の手にしているニードルガンを交互に見、首を傾げた。どうして? どうしてルルーシュは倒れているの? ルルーシュを撃ったのは、私? なぜ私はルルーシュを撃ったの? なんで、どうして――?



『……なっ、何だ? 急に会場が騒がしくなったぞ』
「穏やかでは、なさそうね」
 紅蓮弍式のコクピットで、カレン・シュタットフェルト—―カレン――は唇を噛んだ。やはり自分も付いて行けば良かった。絶対秘密主義の彼は今回も自分たちに詳しい計画を明かさなかったが、何か途轍もなく悪い予感がする。尋常ではなく胸が騒ぐ。もしも、ゼロの身に何かがあったら私は。
「扇さん、私、中を見て来てもいいですか」
『中って……どうやって』
 カレンは液晶の中の扇に許可を求める。今は、彼の姿だけが見たい。この自分の行動が彼にとってのイレギュラーとなったとしても、それでも彼の、ゼロの安否が知りたい。この目で確認したい。
「紅蓮から降りて、走って行きます。KMFじゃ近付けそうにないので」
『しかしここで待機していろというのがゼロの命令だぞ? いつ新たな指示がくるか分からないし』
「その時は私に構わずゼロの指示に従って下さい。では、行って来ます」
『あっ、おい、カレ――』
 何か言おうとした扇に構わず通信を切断する。扇たちだってゼロの安否が気になるはずだ。だから、私が。美しい空色の瞳からは、彼女の強い意志が伺える。大丈夫、きっと大丈夫よ。そう心の中で唱え、コクピットのハッチを開けようと強くレバーを引いた。——しかし、その瞬間。あの式典会場に、大きな異変が起きた。
「……え? どういう……こと?」
 遠目でも確認ができた。逃げ惑う人々。それを追いかけるようにして放たれる銃弾。飛び散る鮮血。一人や二人ではない、式典会場にいた人間全員が逃げ回っていた。追いかけられていた。
 カレンは急いでコクピットのハッチを閉じ、副司令・扇要に再び通信を繋ぐ。
「扇さんっ、式典会場が、何か、大変なことに……!」
『ああ、俺も今カレンに繋ごうとしたところだ。何が起こってるんだ、一体……』
「どうしますか、ゼロからの指示もないですけど……」
 それが、カレンの不安を更に煽っていた。指示の一つでもくれれば、その声を少しでも聞ければ、安心することができるのに。行き場のない不安が、彼女の心を満たしていた。
『突撃するに決まってんだろぉ? なぁ扇、俺らは正義の味方なんだからよ、今行かなくていつ行くんだよ?』
 通信画面がもう一つ表示され、黒の騎士団幹部の一人・玉城真一郎が唐突に口を挟む。基本的に剽軽者な彼がいつになく真剣な顔をしていたので、カレンと扇は少し驚いてしまった。
『しかし、玉城』
『ゼロはこっちに指示できねえ状況なのかもしれねーし、今俺らが動かねえと黒の騎士団の信頼もゼロの信頼もがた落ちじゃねーか』
 カレンは、その言葉にはっとした。ゼロあっての黒の騎士団。しかしそのゼロが動けない状況ならば、自分たちが考えて動くしかない。—―ゼロのために。カレンはいつもの強気な笑みを口に浮かべ、画面の向こうの玉城に向かって言葉をかける。
「そうね、そうよね……あんた、珍しくまともなこと言うじゃない」
『んだと!? 俺はいつだってまともなこと言うじゃねーか!』
『……分かった。そうしよう。俺は他の皆に伝えるから』
「分かりました」
 カレンは通信を切断し、小さく息を吐き出した。不安で、どうしようもなく不安で、心配で——だけれど、知るのもとても怖い。あの人の、ゼロの現状を。彼は無事だと信じたいが、指示が来ないという現実がそうさせてくれない。彼のために何かしたくとも、ただ、祈ることしかできない、そんな自分が情けなかった。
 ——だけど、お願いだから。
「無事でいて……ルルーシュ……」



「母さんっ、母さんっ!!」
 戦場、だった。そこは、歴とした戦場だった。大きな期待を持って集まったはずの同じ日本人の屍の山の中を、少年は駆ける。母はどこだ。靴が脱げても、ガラスの破片で足を切っても、爪が剥がれかけても、それでも少年は走る。涙が頬を伝い、何度も転びそうになる。それでも、愛しい愛しい母の姿を探してただ、走る。
「! 母さん……!」
 母だ。母らしき女性の姿を見つけた。少年は笑みと涙を浮かべながら、その元へ走る。あと5歩。4歩。3歩——。
 しかし。
 数発の銃声の後、ぐらりと女性の影が、傾いた。
「母……さん?」
 少年は顔を引き攣らせて足を止める。女性が、倒れる。彼は他人の空似であってほしいと切に願うが——しかし、そんな少年の願いも虚しく、女性は確かに彼の母親だった。
「かっ、母さん……っ!!」
 少年は駆け寄る。母は血まみれだった。体には、周りに転がるたくさんの屍のように、数多の穴が点在していた。そこから止め処なく溢れ出す生温い血液。
「母さっ、母さっ……! っああぁあああぁぁあぁああ――!!」
 少年は泣き叫ぶ。まだ僅かに温もりを残す母の体に縋り付いて、慟哭する。母の血で服が見る間に紅く染まっていったが、それすらも厭わなかった。
 いつも優しくて、日本がブリタニアに占領された後もその優しさは変わらず、大好きだった母。父が戦死しても、泣き言ひとつ洩らさず自分の傍にいてくれた母。
「なんでっ、どうして……っ!!」
 少年は泣き続ける。母をひたすら呼ぶ。それは聞く者が思わず耳を塞ぎたくなるような悲痛な叫びだった。
 ――しかし、間もなく。
 空間を裂く乾いた銃声とともに、辺りに響いていた慟哭が止む。それは即ち、尊い命がまたひとつ、永久にこの世から消失したことを示していた。



「扇さんっ、私、ゼロを捜索し保護する役に回ってもいいですか!?」
 カレンら黒の騎士団は、総司令のゼロの指示がないまま独断でブリタニア軍と交戦していた。何が起こったのかは未だ謎のままだが、どうも何者かが日本人を殺すようにとブリタニア軍に命じたらしい。交戦と同時進行で在命の日本人を保護するよう副司令の扇から指示があったが、今のところ生存者は無に等しい。もし発見できたとしても、目の前でブリタニア軍に殺されてしまう。
『――カレンがいなくなるとなるとこちら側が少々劣勢になるかもしれないが……頼むぞカレン!』
「はいっ!」
 カレンは進行方向を式典会場の中へと変更する。どうか無事でありますように。ただひたすらそれだけを願い続けた。そうして不安だけが膨らんでいくカレンの頬を、一筋の涙が伝う。大丈夫、きっと彼は今指示ができないような場所にいるだけなのだ。だから大丈夫。大丈夫よ。きっと無事でいるわよね、あなたは。
 そして、丁度メインステージの上を通りかかった時、備え付けマイクの前に誰かが倒れているのを見つけた。ひどく見覚えのある黒い仮面に、体を覆うようにして広がる黒いマント——見紛うはずがない。それは間違いなく、彼女が血眼になって探していたゼロ本人であった。カレンは即座に紅蓮から降り、ゼロに駆け寄る。
「ゼロ! ゼロっ!! 大丈夫ですかっ!?  しっかりして下さいっ、ゼロ!!」
 仮面をしているから分からないが、どうやらゼロは意識がないようだった。大声で呼びかけてみるが何の反応もない。ただ、脈はあったので、命だけは取り留めたようだ。カレンは殊のほか軽いルルーシュを抱き上げると、狭いコクピットへと運び込んだ。彼の身に纏っている服やマントは彼自身の血でぬるつき、紅く染まっていた。
「っ、ゼロっ、ルルーシュっ、どうしてあなたが……っ」
 カレンは震える手でゼロの仮面を外してやり、生気のないその顔を外気に晒した。息苦しさがなくなったためか呼吸がほんの僅かに落ち着いたように見えたが、露わになった常よりもさらに青白い肌が、彼をより儚く感じさせる。
 ルルーシュを自分の後ろへと座らせ、カレンは再び操縦桿を握り紅蓮弍式を発進させる。急がなければ。早く。早く、ルルーシュをどこか安全なところに。治療してもらえるところに。でないと、彼は。
「……っ」
 カレンの頬をはらはらと大粒の涙が流れ落ちる。考えたくないのに、考えてはいけないのに。最悪の事態ばかりが頭を過ぎり、彼女の判断力や冷静さといったものを鈍らせる。普段なら絶対にしないような操縦ミスが目立ち、それがますます苛立ちと焦燥を掻き立てた。手が、どうしようもなく震える。
「っ! あ、ああ……!」
早く。早く。早く――!!



「……う……」
 不意に、倒れていたユーフェミア専任騎士・枢木スザクが目を覚ました。頭がズキズキと痛む。
「僕、は……」
 自分の身に何が起こったのか。何故自分は倒れているのか。何もかもが全く分からない状況の中で、少しでも現状を把握、理解しようとまだ不明瞭な意識と脳を駆使して周囲を見渡す。ひどく静かな会場。それと対照的に銃声や悲鳴が轟く場外。そういえば、意識が途絶える直前に接触した緑色の髪の少女の姿がないが、どこへ消えたのだろうか。
「……え、血?」
 スザクは突然我に返り、それまでなんとなく見ていた周囲を再びしっかりと見渡す。そこには、おびただしい量の鮮やかな血が。倒れる人が。弾切れの拳銃が。
「一体、何が起こってるんだ……!?」
 痛む頭を押さえながらゆっくりと立ち上がる。自分の意識が飛んでいる間に、一体何が起こったのだろうか。この目を瞑りたくなるような惨状は、どうして。
「ユーフェミア様……!!」
 スザクは大切な大切な愛しい主のことをはっと思い出し、彼女の安否を確かめるためにステージの方へと目を向ける。しかしそこに主の姿はなく、代わりに致死量だと思われるほどの大量の血溜まりがあった。まさか——悪い想像が頭を過ぎり、スザクは弾かれたようにランスロットへと搭乗する。そしてすぐさまフロートユニットで浮上させると、フルスロットルで場外へと発進させた。
「ユフィはどこだっ、ユフィはっ!!」
 まるで子を失った親虎のように、ランスロットは血にまみれた戦場の空を進む。ただ主の、ユーフェミアの姿を見たい。先ほどのカレンのように、自分の主の姿だけを求め、探している。
 ユーフェミア様、ユフィ、君はどこにいるの。たった一つの希望。光。世界の。僕の。ゼロなどとは対照的に正しい方法で世界を変えようとしている、素晴らしいお方。血に染められたこの世界を改善しようと尽力している、女神のようでありはたまた天使のようでもあるユフィ。あなたが消えてしまったら、この世界は終焉へとまた一歩近付いてしまう。あなたは光だ。正しい方向へと人々を導いてくれる、一筋の光だ。だから、消えたらだめだ。だめなんだ。絶対に無事でいて。そしてまた微笑んで。どうか、もう一度、僕の前で――。
「……あ、れは……」
 スザクは一度目を見開いて、ランスロットを急停止、急降下させる。——しかし。
「……ユ、ユフィ……? そんな……っ!」
 ディスプレイに映し出されたのは、血溜まりの中倒れている桃色の髪の少女、ブリタニア第三皇女ユーフェミアだった。騎士であるスザクが彼女の姿を見間違えるはずがない。
「え……あ……」
 どうしたら良いか分からないという混乱と目の前の事実を認知したくない気持ちとが混ざって、額や背中から冷たい汗が流れ出す。身体が痙攣のようにガクガクと震える。落ち着け。こういう時どうすれば良いのか考えるんだ。落ち着け、落ち着け枢木スザク。——いや、考えるまでもないはずだ。病院へ連れて行かなければならない。そうだ、病院へ行かなければ――! そこまで考えて、ようやく彼の思考が正常へと戻る。
「うわあぁああぁぁぁあああぁああ!!」
 スザクは血まみれの主をランスロットの手で掬い、コクピットの中で悲痛に叫びながら、進路を邪魔するKMFを問答無用に薙ぎ倒していく。自身の愛機の手の上に横たわる、ぴくりとも動かない大切な大切な主を守りながら。



「……16時39分、ご臨終です……」
「――え? 嘘、だろ、そんな……ユフィ? え? 君が死んだなんて、やめてよ。冗談だろ? ねえユフィ、目を開けてよ、お願いだから、ねえ、……ユフィ、ユフィ……!」
「……スザクくん……ユーフェミア様は、もう……」
「――っ!!」

 ――皇歴2017年12月10日16時39分。
 少年のただ一人の主にして一筋の光だった少女は、口元に小さく微笑を湛えたまま、静かに永遠の眠りに就いた。




僕 の 孤 独 と 君 の 終 焉







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name / とおみち

・声優様であらせられる
 櫻井孝宏氏、小西克幸氏
 を崇拝しています。

・ギアス、ピンドラ、APHスキー。
 ギアスは永遠です(私の中で)。

・枢木スザク至上主義。
 二次元でもリアルでも(!)
 一番大好きだぜ!

・物書きですが、
 暗く湿った話が好きなので
 そういうのしか書けませぬ。
 なんということだ…

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